フリーランスのネットワークエンジニア【個人事業主】として1年弱活動してみたのでその振り返りをしたいと思います。
フリーランスネットワークエンジニアとして活動している人の割合は非常に少ないと思いますので少しでも参考になれば幸いです。
業務について
基本的には常駐案件が殆どです。
DC系の常駐が特に多く長期案件がほとんどの印象でした。
私も実際1社にほぼフルタイムでコミットし、空き時間に小さな拠点、店舗のNW機器リプレースなんかの小さな案件をなんとか見つけ出す感じになります。
フリーランス憧れの自宅でバリバリみたいな感じはネットワーク、インフラ系のエンジニアには難しい印象です。
なので実際のところ感覚的にはSESに近いですね。
ただし、場所の縛りや時間の縛りは強制ではないので現地作業が不要な日は自宅でリモートワークしたり、出社の時間を自分で決めたりすることができるので精神的には非常に楽です。
売上について
基本的に1社常駐フルコミットなのでほぼ変動はありませんでした。
小さな案件を片手間でこなしたときに副収入的な感じで売上が増えるだけなので非常に安定しています。
固定費も殆どかからないので赤字になることはほぼないはずです。
世間ではコロナで大騒ぎしていますが、ネットワーク、インフラ系は特に大きな影響を感じません。
飲食系の案件が急遽ストップしてしまったくらいで生活に困るような打撃は一切受けませんでした。
テレワーク環境特需で逆にいつもの倍くらい売り上げている嬉しい悲鳴を上げている人も多い気がします。
確定申告について
もちろんフリーランス(個人事業主)なので確定申告を行う必要があります。
とは言っても売上は月に数件ですし、経費も(接待交際費、リモートワーク時のカフェ代、通勤代、消耗品)非常に数も少ないので自分一人で帳簿を付けていて殆ど手間に感じることはないと思います。
正社員時代に行っていた月末月初の交通費や勤怠の入力とそこまで手間は変わりません。
※自分の事業の精算になるので間違えなどにはより一層気を使う必要がありますが・・・
フリーランスになってよかったこと
キャリアパスを明確に描ける
個人的にはこれが一番よかったと思えます。
正社員で出世を目指すとなると多くの場合は技術者からマネージャーへの転身を求められますし、数字重視の経営層と損益なんて殆ど気にしない担当社員の板挟みになっている状況をよく聞きます。
しかも、中間管理職自身も技術者上がりなので数字やマネジメントに強くないことが多いです。
私が色々な会社を見てきた感じも社内の基幹システムに数字、工数を入れてなんとなく全PRJいい感じに利益が出ていて予算達成していればOKくらいの人が多い印象でした。
こういう人が多い中きちんと数字にも強い人が役員まで出世してるのかなと個人的に思ってます。
基幹システムを触って利益を出せる(見れる)=経営目線では全くないと思っているので自分のキャリアはこうしたくないなと言う思いが強かったです。
フリーランスは正社員の頃と違い案件を自分で選択できますし取引先の基幹システムを触る必要はないので技術に特化した業務ができます。
赤字になったら自業自得な分、自由にできるだけなのでそこらの人より数字に強く、PRJ管理ができ利益が出せることが大前提です。
責任を自分で取れる
会社員時代は問題を起こした場合、本人そっちのけで部長など役職者が謝罪に行ったり、色々と調整をしてなんとかしてくれたりします。
むしろペーペーの私が謝罪に行っても門前払いですね。
私は、自分でやってしまった失敗は自分で責任を持ってなんとかしたいタイプなのでこの状況が非常に嫌でした。
酷い部下が付いた場合は結局上司が責任取るだけなのでてきとうにやっておけばいいやなんてことが成り立ってしまう構図なんですよね。
上司の立場でも部下の立場でもこんなの嫌すぎます。
個人の場合はそうは行きませんので自分で全ての責任を追う必要があります。
これによって非常に良い緊張感を持って業務に取り組めています。
事務処理に忙殺されない
正社員の場合なにかと事務処理が多いです。
物を1つ買うにも稟議だ専決だなどやることが多いです。
新事業や技術をやろうとするなら損益分岐点や社内企画書、社内への根回しなど更にやることが増えます。
多くの会社はPRJ単体での損益を気にするので黒字になりにくい新技術用検証環境構築などの費用を出すのは一苦労です。
個人の場合は全てを考えるのが自分自身になるので、検証用の機器をすぐに購入できます。
PRJ単体での利益ではなく全体での利益ですぐに物事を考えられるので検証環境や新技術の勉強で赤字を掘っても全体が赤字にならなければOKなので自分の気力次第ですぐに勉強が開始できます。
フリーランスの場合は確定申告や青色決算、見積り、請求等の事務処理が必要で大変と思われがちですが、会社員時代の方が事務処理にかかる時間は長かったです。
会社の利益を削る行動に腹が立たなくなる
中には生活残業をしていたり、ほとんど成果を上げずに工数だけ大量に消化する社員もいるわけです。
正社員の多くは月給制で業務時間も固定なので成果を上げようが遊んでようが費用が発生してしまうんですね。
また、研修費の名目で費用が割り当てられてるからと言った理由だけで本人が行きたくもない研修に参加させたり、そのおかげで行きたい研修に行けない人が出てきたりと結構無駄なことが多いです。
これらをなくしたところで自分の月給がすぐに上がるわけではないのですが、利益を削る行動を取られるとやっぱり損した気持ちになります。
こういう状況に非常に腹が立っていたのですが、フリーランスの立場になるとそういう人たちとは別会計になるので一切気にならなくなります。
仮に自分が従業員を雇用する立場になったとしてもそういう人を雇用しなければよい話になります。
お金に詳しくなる
日本では金融に関する教育が殆どなく会社員量産教育なんて言われたりします。
実際その通りで源泉徴収と言う最強のシステムにより会社員は税金を天引きされた状態で支給されるので、税金について意識することが殆どありません。
個人事業主になるとこの辺りの知識が最低限必要になるのでお金に詳しくなります。
これは結構大きなことだと思います。
実際にもともといた会社の人に業務用のPCは経費だみたいな話をしたら「どっからお金もらえるの?すごくね?」なんて言われたこともあります。
経費=会社からお金が貰える=本人はただで買い物できる。と思っているんです。
実際会社員時代の経費は本人が建て替えたものを後で支給されるだけなのでお金が貰えると判断するのも無理のない話です。
フリーランスになって微妙なこと
福利厚生や資格取得支援制度がない
今までは数十万円もする研修を会社のお金で受けられたり、資格取得すると報奨金が貰えたり、福利厚生で保養所に格安で宿泊できるなど色々な制度がありました。
結婚したり出産した場合も祝金が出ますね。
また、厚生年金基金もないので老後にもらえるお金は少ないです。
フリーランスはこういったことが全くないので、研修もコストに見合った成果が得られるかなどを真剣に考える必要が出てきます。
売上の安定に不安がある
フリーランスの立場は非常に弱いです。
失業保険などの保証がほぼなく守ってくれるのは下請法くらいですかね。
その分や間接費などで正社員時代には抑えられていた売上がフルに入ってくるので、きちんとお金の管理はしておく必要があると感じています。
私は小規模企業共済とiDeCo、NISAに満額いれつつ当面のキャッシュとして半年くらいは無収入でもしなないくらいの金額を確保しています。
これで十分かはわかりませんが正社員の頃よりは確実に意識しておく必要があります。
思っているより所得は高くない
売上ベースで1,000万を超えるフリーランスの人はそれなりにいると思います。
少なくとも正社員の支給1,000万よりは身近にいます。
正社員の場合はここから健康保険や国民年金、厚生年金、住民税など各種税金をを差し引いて手取りとなります。
個人事業主の場合はこれに加えて経費も差し引いたものが実際の手取りとなります。
退職積立金も厚生年金基金もないのでそれに変わるもの(小規模企業共済など)に積み立てる必要もありますね。
また、経費率の非常に低い業種であるフリーランスエンジニアですが、それでも売上の3割くらいは経費になると思います。
そう考えていくと実際の所得は思っているより高くないなーと言う印象です。
ローンが組みにくい
私はまだ2年目の駆け出し個人事業主ですので、ローンを組むのが結構大変です。
一般的なローンは確定申告書3期分を求められ、売上、所得が安定していることを最優先に見られるようです。
私の場合1期分しかありませんのでそもそも土台に上がれないパターンが多いです。
又、サラリーマンの場合は総支給、個人事業主の場合は税金や経費等を払い込んだ後の残り金ベースで計算されます。
なので、節税を頑張りすぎると残り金が少なすぎてローン組めなくなります。
個人事業主にも小規模企業共済など絶対に返ってくる積立金があるのですがこれを所得と見なしてくれないので残り金ベースで計算されてしまうとサラリーマンより殆どの確率で不利です。
フリーランスになった総評
私はフリーランスになってよかったと断言できます。
日本の税制や申告制度に詳しくなりますし、自由に使えるお金も増えました(銀行預金にするか小規模企業共済やiDeCoに回すかなど将来のためのお金も自分で選択できます)し、理不尽上司に嫌なことを言われ続けることもないですし精神的にはかなり良い状態を保てています。
もちろん自己責任の部分も大きいので納期が近いときなどは会社員時代以上にピリピリすることもありますが、これは自分で望んだ環境なので嫌ですが苦痛ではありません。
自分でやりたいことが明確になっていて自分で業務を実行したい人はフリーランスと言うのは非常によい環境になると思います。
フリーランスを考えている人はならないで後悔するよりなって後悔した方がよいと思いますので是非前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
人生一度きりですのでやりたいことを思いっきりやる人生にしたいと思いながらフリーランス2年目も頑張りたいと思います。